強制ではないスキャナ保存
スキャナ保存制度は、取引の相手先から受け取った請求書等の国税関係書類について、書面による保存に代えて、一定要件下でスキャン文書による保存ができる制度です。スキャナ保存の運用を開始する際に税務署への届け出は必要ありませんし、電子帳簿保存法と聞くと真っ先に思いつく「電子取引のデータ保存」のように、絶対にスキャンして電子的に保存しなければならない、というわけでもありません。あくまでも「することができる」という制度です。
スキャナ保存の近年の改正点や注意点をおさらいしてみましょう。
令和5年改正の内容
他の電子帳簿保存法と同様に、当初の規定から運用については柔軟なものへと改正が行われています。
①解像度やカラー画像等の読み取り情報の保存:解像度や階調、大きさに関する情報の保存が必要という要件が廃止されました。なお、解像度やカラーについての要件に変更はありません。
②入力者等の情報の保存:記録事項の入力を行う人またはその人を直接監督する人を記録し、確認できるようにしておくことを求める要件が廃止されました。
③帳簿(会計データ)との相互互換性確保が必要な書類が重要書類に限定:スキャナで読み取った際に、帳簿と相互に関連性を確認できるようにしておく国税関係書類が契約書・領収書等のように、資金や物の流れに直結・連動するような「重要書類」のみに限定されました。見積書や納品書の写しのように、資金や物の流れに直結・連動しない「一般書類」については、相互関連性の確保が不要となりました。
真実性要件・入力期限等は健在
スキャナ保存を行う際に、受領後一定期間内に日本データ通信協会が認定するタイムスタンプの付与、もしくはそれに代わるデータの訂正や削除の履歴を残すことのできるクラウドシステム等の導入で真実性の担保をすることが求められている点は健在です。
また、入力期限は受領後7営業日以内か、業務サイクル方式の2か月+7営業日以内と定められています。業務サイクル方式を採用する場合、事務処理規定が必要です。