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コラム
2024.11.05

ロシア経済制裁で制裁対象認定されると身動き取れず

お金が動かなくなると事業ができない

 2022224日に開始されたロシアによるウクライナへの侵攻は2年半を過ぎた202410月現在もまだ終結が見えていません。ロシアに圧力をかけて戦争を終わらせようとする西側諸国の努力の一つが、ロシアへの経済制裁でした。具体的には、ロシアの特定の銀行を「SWIFT」(スウィフト)から締め出す措置で、最も厳しい制裁手段の一つだとされていました。

 始まった当初は送金が遅延する程度で影響も小さかったのですが、米財務省が制裁対象者データベースを更新するたびに実際に不便が出て、ロシアから物を買っていた日本の顧客が代金を送金できなくなったり、ロシア会社の日本事務所に運転資金の送金ができなくなったりして、じわじわ制裁が効いてきていました。

2024年3月あたりからは特に銀行の審査が厳しくなり、資本関係のみならず人的つながりでも制裁対象者と関係がある場合は、送金を扱ってもらえず、口座凍結を宣言されたうえで銀行口座の解約も迫られました。

事業ができないなら放置か解散

お金を動かせないと事業が止まります。事業ができないなら戦争が終わるまで放置しておくか事業を清算するしかありません。

仮に第3国に事業拠点を移しても、それまでの人的関係や事業の流れと少しでも関係があると経済制裁の対象と認定されてしまい、新たな形での事業展開は不可能です。プーチンにどれだけ響いているかはわかりませんが、事業会社には確実に効いているダメージです。

清算しても残余財産を渡せない…

 会社を解散して、清算手続きを開始し、残余財産の確定まで進んでも、海外送金できなければ残余財産の分配は終わりません。残余財産の分配が終わらないと清算は結了しません。

法人税の最後の申告は残余財産の確定から1か月以内ですから、申告自体はしなければなりません。

もし清算が結了しなければ、戦争が終結して経済制裁が解除されるまで実質放置状態となります。

メガバンクはどこも調査が厳しいので外国送金の際に撥ねられてしまうとそこの銀行口座に保管しておくこともできなくなってしまいます。

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