法改正とその影響
人手不足が慢性化している我が国では、外国人労働者の存在は軽視できません。予定されている入管法の改正でも、技能実習制度の廃止と、これに代わる育成就労制度の創設に注目が集まっています。同時に今回の改正では、不法就労助長罪について、法定刑の上限引き上げが予定されています。外国人労働者を雇用する企業は、企業に悪意がなくても、制度を知らないばかりに、いつのまにか法に触れてしまう可能性があります。まずは、不法就労助長の理解を深め、その対策を考える必要があります。
不法就労助長とは
不法就労助長とは、その名の通り「不法就労活動」を「助長すること」です。「不法就労活動」の定義は入管法に規定がありますが、ごく簡潔にいえば不法就労活動とは、資格外活動と不法残留者等が行う就労とを合わせたものといえます。さらに、資格外活動は、就労が認められる在留資格を有していない外国人が、許可なく就労する場合と、在留資格で認められる就業の範囲を超えて就労する場合とに区分されます。
この不法就労活動の定義を前提として、入管法では、次の3類型を「不法就労助長」と定めています。①不法残留者等を就労させる場合②就労できる在留資格を有していない外国人を許可なく就労させる場合③就労制限のある在留資格の外国人をその制限を超えて就労させる場合
不法就労助長の罰則等
①刑事罰:不法就労助長は、入管法の罰則として定められています。仮に有罪となった場合には、懲役刑(法改正後は拘禁刑)又は罰金刑若しくはその両方が課されます。
②刑事罰以外のペナルティ:その企業の業種によっては、様々な許認可を取得する必要がありますが、当該不法就労助長によって、取消事由や欠格事由に該当する可能性があります。また、その後の技能実習生など外国人労働者の受入れに関してのマイナス材料になることも考えられます。さらには、不法就労助長により、経営者や企業等が送検されるような場合には、報道などを含め企業名が公表されることがあります。一度このような事案で報道等されてしまうと、企業イメージの低下などレピュテーションリスクが生じることさえあり得ます。外国人を雇用する場合、これらの意識を高め、十分な対策を取ることが必要です。