就職率・離職率もともに上昇
厚生労働省は令和5年「雇用動向調査」の結果を公表しました。これによると入職率(新たに採用した人の率)16.4%(前年比1.2ポイント上昇)、離職率15.4%(前年比0.4ポイント上昇)、いずれも前年比を上回っています。
令和5年の1年間の転職入職者(入職者のうち、入職前1年簡に就業経験のあるもの)が前職を辞めた理由を見ると、男性は「その他の個人的理由」(出向などを含む)を除くと「定年・契約期間の満了」の16.9%が最も多く、次いで「職場の人間関係が好ましくなかった」9.1%となっています。女性は「その他の個人的理由」を除くと「職場の人間関係が好ましくなかった」13.0%が最も多く、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」11.1%となっています。また前年と比べて上昇幅が最も大きいのは、男性は「仕事の内容に興味を持てなかった」(2.9ポイント)で、女性は「職場の人間関係が好ましくなかった」(2.6ポイント)となっています。
転職入職者の賃金変動状況
転職入職者の賃金変動状況を見ると、前職の賃金に比べ「増加」した割合が37.2%(前年比2.3ポイント上昇)、「減少」した割合は32.4%(前年比1.5ポイント低下)、「変わらない」の割合は28.8%となっています。また、「増加」のうち「1割以上の増加」は25.6%、「減少」のうち「1割以上の減少」は23.4%となっています。
転職市場は活性化
現在、若者だけでなくミドル層の転職も増えています。企業としては人手不足緩和に向けても他社の状況を踏まえつつ、賃金や労働時間だけでなく労働条件の改善や負担軽減のための機器の導入、相談体制など社内環境についても考えていきたいところです。
一方で「ゆるブラック企業」などという言葉にもあるように労働環境は整っていてもやりがいが感じられない、成長実感がないという不安を抱えて若年層が転職するケースも増えているようです。
企業は時代背景、ニーズを把握して人員を確保していく努力が必要でしょう。