column
コラム
2024.10.31

相続が発生した際に行うこと | 必要な手続きや必要書類

相続が発生した際、さまざまな手続きを進めていかなければなりません。期限の決まっているものもあります。本記事では、税務に限らず、相続が発生した際に行う必要があることをまとめています。

葬儀・法要関係

葬儀・法要関係で必要な対応は以下の3つです。

  • 関係者への連絡
  • 葬儀社への連絡
  • 通夜・葬儀・告別式、初七日法要

関係者への連絡

親族関係や故人と縁が深かった方には、亡くなったことを先に伝え、葬儀の日程や場所などが決まり次第改めて連絡しましょう。それ以外の方には、訃報と葬儀の連絡を同時に行います。

葬儀社への連絡

葬儀社へ連絡し、葬儀の日時等の打ち合わせをしましょう。葬儀社が決まっていない場合は、病院から紹介を受けるか自分で早期に探して連絡を取りましょう。

通夜・葬儀・告別式、初七日法要

火葬許可証を葬儀社に渡し、葬儀を行います。初七日は、亡くなってから7日目の法要のことですが、葬儀と一緒の日に済ませることが多くなっています。また、近年では家族葬や、火葬のみを行う直葬も増えており、葬儀の形式はさまざまです。

なお、葬儀の費用を誰が払うか取り決めはありませんが、一般的に喪主が負担します。香典は喪主のものとなり、通常は葬儀代にあてることになります。

公的機関の手続き

  • 死亡診断書・死体検案書の受取
  • 死亡届の提出・火葬許可証の受取
  • 公的年金の手続き
  • 健康保険証の返還
  • 介護保険資格喪失届
  • 住民票の世帯主変更届
  • 雇用保険受給資格者証の返還
  • 埋葬料の請求
  • 葬祭費の請求
  • 高額医療費の還付申請

死亡診断書・死体検案書の受取

病院の医師から死亡診断書を受け取りましょう。事故や突然死の場合は警察に連絡する必要があり、その場合には、死体検案書を受け取ります。

死亡届の提出・火葬許可証の受取

死亡診断書または死体検案書を受け取った後、死亡届を提出します。火葬許可申請書も同時に提出し、火葬許可証を受け取ります。
なお、葬儀社が決まっている場合、葬儀社が代行する場合が多いです。
死亡届の提出の期限や届け先は、以下のとおりです。

【提出期限】 死亡を知った日から7日以内
【届け出先】 次のいずれかの市町村役場
・亡くなった人の死亡地
・亡くなった人の本籍地
・届け出する人の所在地

公的年金の手続き

死亡者が年金を受け取っていた場合、年金停止の手続きが必要です。
公的年金手続きの期限や届け先は以下の通りです。

【提出期限】 国民年金の場合 死亡後14日以内
厚生年金の場合 死亡後10日以内
【届け出先】 年金事務所
【必要書類】 ・年金受給権者死亡届(報告書)
・年金証書
・死亡したことがわかる書類(死亡診断書や戸籍抄本など)

なお、受け取っていない年金がある場合、未支給の期間分の年金を請求することができます。
受け取っていない年金の請求の期限や届け先は以下のとおりです。

【提出期限】 死亡後5年以内
【届け出先】 年金事務所
【必要書類】 未支給年金請求書

 

健康保険証の返還

亡くなった方の健康保険証を返還する必要があります。
国民健康保険や後期高齢者医療保険と会社で入っている健康保険では、提出期限や届け先が異なるため注意しましょう。

国民健康保険や後期高齢者医療保険の場合

【提出期限】 死亡後14日以内
【届け出先】 市町村役場

 

健康保険の場合(会社が手続きを行うことが多い)

【提出期限】 死亡後5日以内
【届け出先】 年金事務所

 

介護保険資格喪失届

死亡者が65歳以上の場合、介護保険の喪失手続きが必要です。
介護保険資格喪失手続きに必要な書類や提出期限、届け先は以下のとおりです。

【提出期限】 死亡後14日以内
【届け出先】 市区町村役場
【必要書類】 ・介護保険証
・介護保険資格喪失届け

 

住民票の世帯主変更届

死亡者が世帯主で、同居人等が新たに世帯主になる場合は、市区町村役場で変更届の手続きが必要です。なお、死亡届を提出した時点で住民登録は無くなるため、抹消の届け出は不要です。
住民票の世帯主変更手続きの期限・届け先は以下のとおりです。

【提出期限】 死亡後14日以内
【届け出先】 市区町村役場

 

雇用保険受給資格者証の返還

死亡者が雇用保険を受給していた場合、返還が必要です。
雇用保険受給資格者証の返還の期限、届け先は以下のとおりです。

【提出期限】 死亡後1ヶ月以内
【届け出先】 管轄のハローワーク

 

埋葬料の請求

死亡者が健康保険の被保険者であった場合、埋葬料を請求することが出来ます。(受給金額5万円)
葬祭費の請求の申請期限・届け先は以下のとおりです。

【提出期限】 死亡日の翌日から2年以内
【届け出先】 加入している健康保険組合または協会けんぽ
【必要書類】 ・健康保険埋葬料請求書
・健康保険証
・死亡診断書
・葬儀費用の領収証など

 

葬祭費の請求

死亡者が国民健康保険もしくは後期高齢者医療保険に加入していた場合、葬祭費の請求が出来ます。(受給金額1~7万円:家族の状況や市区町村で異なります。)

【提出期限】 葬儀から2年以内
【届け出先】 死亡者の居住していた市区町村役場
【必要書類】 ・故人の健康保険証
・申請者の本人確認書類、印鑑
・葬儀費用の領収証

 

高額医療費の還付請求

死亡の前に入院・手術・通院などをしており、高額な医療費の負担をした場合、還付請求が出来ます。
高額医療の還付請求の期限・届け先は以下のとおりです。

【提出期限】 医療費支払いから2年以内
【届け出先】 加入している健康保険組合、協会けんぽ、市区町村役場(加入している健康保険により異なります。)
【必要書類】 医療費の明細書

 

公的機関以外の手続き

手続きには各契約会社により必要書類が異なります。連絡を取る際に併せて必要書類の確認を行いましょう。

  • 公共料金
  • NHK受信料契約
  • 電話・プロバイダー
  • 車の名義変更
  • クレジットカードの解約
  • 運転免許証の返納
  • パスポートの返納

手続きには各契約会社により必要書類が異なります。連絡を取る際に併せて必要書類の確認を行いましょう。

公共料金

死亡者が契約している電気・ガス・水道会社があれば、各契約会社に連絡を取り、名義変更もしくは解約の手続きを行います。

NHK受信料契約

死亡者がNHKを契約していた場合、NHKに連絡し、名義変更もしくは解約の手続きを行います。

電話・プロバイダー

死亡者が固定電話・携帯電話・インターネット契約をしていた場合、各契約会社に連絡を取り、名義変更もしくは解約の手続きを行います。

車の名義変更

死亡者が車を所有していた場合、名義変更の手続きを行います。車は相続財産となるため、誰が名義を引き継ぐが決める必要があります。また、自動車保険も死亡者名義であれば、変更する必要があります。
車の名義変更の届け先、必要書類は以下のとおりです。

【届け出先】 運輸支局
【必要書類】 ・名義変更申請書(陸運局もしくはインターネットからダウンロード)
・手数料納付書(500円の手数料がかかります。)
・自動車検査証
・自動車保管場所証明書(車庫証明書)
・相続人の印鑑証明書、印鑑
・遺産分割協議書、遺言書など
・法定相続情報一覧図または戸籍謄本、戸籍の全部事項証明書

 

クレジットカードの解約

死亡者がクレジットカードを所有していた場合、解約の手続きを行います。契約しているクレジットカード会社に連絡し、死亡のため、解約したい旨を伝えます。

運転免許証の返納

死亡者が運転免許証もしくは運転免許経歴書を所有していた場合、返納が必要です。
運転免許証返納の届け先、必要書類は以下のとおりです。

【届け出先】 警察署
【必要書類】 ・亡くなられた方の運転免許証
・死亡診断書もしくは戸籍謄本(除籍後)の写し
・届け出をする人の本人確認書類、印鑑
・運転免許証返納届

 

パスポートの返納

死亡者がパスポートを持たれていた場合、失効の手続きをすることが出来ます。死亡者のパスポートについては、返納の義務はありませんが、手元に置いておきたくない場合は、返納しましょう。
パスポート返納の届け先、必要書類は以下のとおりです。

【届け出先】 パスポートセンター
【必要書類】 ・亡くなられた方の運転免許証
・死亡診断書もしくは戸籍謄本(除籍後)の写し
・届け出をする人の本人確認書類、印鑑
・運転免許証返納届

 

金融機関預貯金の名義変更

金融機関に預貯金がある場合、払い戻しもしくは名義変更を行います。金融機関に連絡と同時に銀行口座は凍結されます。
金融機関預貯金の名義変更の届け先、必要書類は以下のとおりです。

【届け出先】 各金融機関
【必要書類】 ・名義変更や払い戻しの申請書
・被相続人の預貯金通帳、銀行印、キャッシュカード
・被相続人の除籍謄本
・相続人の戸籍謄本
・遺産分割協議書または遺言書

金融機関により必要書類は異なるため、詳細は各金融機関に確認してください。

株式の名義変更

死亡者が株式を保有していた場合、名義変更が必要です。
株式の名義変更の届け先、必要書類は以下のとおりです。

【届け出先】 取引を行っていた証券会社
【必要書類】 ・被相続人の除籍謄本
・相続人の戸籍謄本
・証券会社への届出印
・相続人の証券口座が分かる資料
・遺産分割協議書または遺言書

証券会社により必要書類は異なるため、詳細は各証券会社に確認してください。

不動産の名義変更(相続登記)

遺言書、遺産分割協議にて不動産を相続する人が決定後、不動産の名義変更手続きが必要です。2024年4月から名義変更が義務化されています。
不動産の名義変更の提出期限、届け先は以下のとおりです。

【提出期限】 相続の開始および所有権を取得したと知った日から3年以内
【届け出先】 法務局
【必要書類】 ・被相続人の除籍謄本
・被相続人の住民票除票
・相続人の住民票
・相続人の戸籍謄本
・遺産分割協議書または遺言書
・固定資産評価証明書
・相続関係説明図
など

【費用】
不動産の名義変更には、登録免許税がかかります。
登録免許税とは、登記を申請するときに国に納める税金のことです。
相続登記にかかる登録免許税は固定資産税評価額に対し、0.4%と定められています。ただし、遺言によって相続人ではない人が不動産を取得する場合には税率が2%になるので注意が必要です。

また、相続登記を促進するために登録免許税の免税措置が定められており、一定の要件に該当する場合には登録免許税が非課税となります。

税金関係

以下の場合、税務署へ申告、納税が必要になります。

  • 準確定申告
  • 相続税

準確定申告

死亡者が事業者や、不動産賃貸収入があり、死亡日時点までの収入が未申告であれば、確定申告が必要になります。

【提出期限】 死亡を知った日から4ヶ月以内
【届け出先】 死亡者の住所地の管轄税務署

 

相続税

遺産総額が基礎控除を超える場合、相続税の申告と納税が必要になります。基礎控除額は3000万円+法定相続人×600万で計算します。
相続税の申告期限、届け先は以下のとおりです。

【提出期限】 死亡を知った翌日から10ヶ月以内
【届け出先】 死亡者の住所地の管轄税務署
【必要書類】 必要書類一覧

 

各種書類の取得先

相続が発生した場合、さまざま書類が必要になります。各書類の取得先は以下のとおりです。

  • 身分関係(戸籍など)
  • 不動産関係

身分関係(戸籍など)

書類名 取得先 備考
出生から死亡までの戸籍謄本等 市区町村役場
住民票の除票 市区町村役場 死亡時の住所地で作成される
戸籍の附票 市区町村役場 住所の移り変わりを確認できる書類

不動産関係

分類 書類名 取得先
土地・建物 登記簿謄本 法務局
固定資産税評価証明書 各市町村役場
土地 地積測量図 法務局
公図 法務局
建物 建物図面 法務局

まとめ

相続は突然発生し、気持ちが癒えない中、多くの不慣れな手続きをしなければなりません。手続きの期日が定められているものも多くありますが、焦らずひとつひとつ手続きを進めていきましょう。

contact 無料相談はこちら

相続に関するご相談、税務相談や経営相談など、どのようなことでもお気軽にご相談ください。
事前にご連絡いただければ、土日祝対応も可能です。

TEL.082-877-4218
[営業時間] 平日9:00~17:30
杉山会計事務所

〒731-0122
広島県広島市安佐南区中筋二丁目5-25-201
TEL:082-877-4218/FAX:082-877-4219

Copyright ©杉山会計事務所. All Rights Reserved.